<石けんと合成洗剤>
2. 洗剤論争についての予備知識
@ 合成洗剤vs石けんの論点
- 一般には人体に対する安全性、環境への影響と言う二側面に分けて考えられる。
人体に対する安全性には、急性毒性、慢性毒性、発ガン・発ガン補助性、催奇形性、肝臓障害、
皮膚障害、他の毒性に影響を及ぼす人体蓄積性、皮膚透過性なども注目されることがある。最近
では環境ホルモンとしての性質も取り上げられる。環境影響に関しては、生分解性、水生生物へ
の影響(魚毒性など)、下水処理への影響、有機汚濁負荷(BOD、COD、TOCなど)、富栄養化とい
った問題が論点となっているが、国際的には現在LCA(ライフサイクルアセスメント)、リスクアセスメントなどが注目されている。
A 合成洗剤反対運動の分裂に関して
- 合成洗剤追放運動
石けん以外の合成洗剤は一切認めないとする方針。(柳沢兄弟が中心的な役割で活躍してきた運動)。合成界面活性剤の毒性を根拠とした運動を展開しているので、少量であっても合成界面活性剤の配合された物は認められない。
- 石けん推進運動
一部の物質を含んだ合成洗剤には反対するが、そうではない合成洗剤は認めつつ、石けんを推進していくという方針。人体への毒性ではなく環境配慮というのが主な論点であるとしているので、合成界面活性剤の中でも安全性の高い物が配合されて石けんの使いやすさが向上するならばそれはよいことと見なし、問題視される成分が含まれていないなら合成洗剤自体も認める。
- もともとこの二者は一元化していたが、1970年代に合成洗剤に含まれるリン分による富栄養化という問題をメインテーマにして有リン合成洗剤の追放運動を繰り広げ、1980年頃にその成果を実らせた。
その運動の中心メンバーは「合成洗剤研究会」という組織を形成する
が、1979年柳沢文徳氏が「洗剤の影響を研究するのではなく洗剤の
有害性を研究するという目的にすべき」との動議を提出したことで運動の分裂が表面化。
無リンに向かっていく以上、合成洗剤の完全否定は現実的ではないとするメンバーとの間で亀裂が生じることとなった。
(合成洗剤は本当に有害なのか?―「石けんファシズム」もういいかげんにしたら大矢勝著:参考)
B 合成洗剤追放運動の問題点
-
『 現在、石鹸派と呼べる人々は、その起源が2種類存在するようで、第1種は、中小の石鹸メーカー、そして、第2種は、消費者運動上がりの人々。
いずれにしても、合成洗剤は、大企業が作るものであり、それに対して、石鹸であれば比較的簡単に作ることができたから、中小企業は大企業と対等
に戦うことができた。すなわち、合成洗剤の時代になることは、中小企業にとっては不利な状況になることを意味し、大企業と戦うためにはなんらかの
武器が必要ということになった。一方、消費者運動というものも、原則的に大企業の利益は消費者の利益と相反するというのが基本思想だから、石鹸を
守るということは、消費者運動にとっても一本の「むしろ旗」になりうるものだった。反合成洗剤の図書は多数出版されているが、そのかなりのものが
三一書房から出ていることも、このあたりの状況を見事に表現している。そこで、対合成洗剤の武器として有害説が説かれることになる。
(市民のための環境学ガイドより引用)』
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